HLA半合致以上の血縁ドナーから作成した複数ウイルスに対する抗原特異的T細胞を用いた造血細胞移植後の治療抵抗性ウイルス感染症に対する細胞療法
目的
難治性のウイルスの再活性化、あるいは活動性のウイルス感染症を呈する造血細胞移植レシピエントにおいて、複数ウイルス(サイトメガロウイルス:CMV、Epstein-Barrウイルス:EBV、アデノウイルス:ADV、BKウイルス:BKV、ヒトヘルペスウイルス6:HHV6)特異的T細胞投与の安全性および実現性を検証し、確認する。
基本情報
参加条件
性別
男性・女性
年齢
下限なし上限なし
選択基準
1. 登録前12ヶ月以内に同種造血細胞移植歴(移植ソースやHLA適合度ならびに前処置の種類は問わない)を有する。また移植後30日以降である。年齢や性別は問わない。
2. 標準治療などを受けたにも関わらずCMV感染または感染症、EBV感染症、ADV感染または感染症、BKV感染症、HHV-6感染症のいずれか1つ以上が診断後7~14日以上持続している難治性の状態である。
3. 登録時の急性GVHDがグレードI以下で安定しており、ステロイドの投与がプレドニゾロン換算で0.5 mg/kg/日以下である。
4. 登録時の慢性GVHDが中等症以下で安定しており、ステロイドの投与がプレドニゾロン換算で0.5 mg/kg/日以下である。
5. 登録時に非感染性肺障害を認めない。
6. i) 本研究の参加にあたり本研究登録前に十分な説明を受けた後、十分な理解の上、本人の自由意思による文書同意が得られた患者(20歳以上)。
ii) 同様に十分な説明を受けた上、十分な理解の上、患者及び代諾者の自由意思による文書同意が得られた16歳以上20歳未満の患者。
iii) あるいは親(または親権者)からの文書同意が得られた小児患者。(なお小児患者では年齢にあわせてできるだけ理解を得るように努める)。
7. 小児以外で代諾者を必要とする場合は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則に従い、代諾者からの文書同意が得られたもの。
除外基準
1. 登録前28日以内に、ATG、Campath-1H、またはその他の免疫抑制に働く抗T細胞モノクローナル抗体が投与されている。
2. ADV、BKV、CMV、EBV、HHV6感染症以外の制御不能な感染を有する。
3. 登録前28日以内にドナーリンパ球輸注(DLI)を受けている。
4. 造血細胞移植の対象となった血液悪性腫瘍が血液学的寛解ではない(対象が非悪性腫瘍の場合は原病の状態は規定しない)。
5. 悪性腫瘍の既往がある(ただし最終治療から5年を再発なく経過している、もしくは消化管または皮膚腫瘍で治癒的切除が行われた場合は除く)。
6. 心機能:心エコー検査での駆出率(EF)が40%以下である。
7. 酸素飽和度(室内)SpO2<90%
8. 呼吸機能:下記のいずれかを満たす場合
i) 一秒率(FEV1/VC)<70%(ただし6歳以上16歳未満では<80% **、小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2017準拠)
ii) %肺活量(%VC)<80%(年齢・身長・体重からの期待値に対する割合)
iii) 一秒量:FEV1<75%(年齢・身長・体重からの期待値に対する割合)でかつ造血細胞移植前と比較して細胞治療適格性判定時(1か月以内)の呼吸機能検査で1秒量が10%以上低下
9. 肺高解像度CT(HRCT)により閉塞性気管支炎(BO)あるいは閉塞性細気管支炎症候群(BOS)に合致する所見を認める(非感染性肺障害を認める)。
10. KL-6 ≧500U/mL ただし小児(16歳未満)では≧250U/mL
11. 造血細胞移植後に喫煙歴を有する。
12. その他、担当医により本研究の対象として不適格と判断される。
治験内容
介入研究
主要結果評価方法
最終投与後30日までの有害事象発生割合(グレード4以上の非血液毒性[CTCAEv4.0])
最終投与後45日までの急性GVHD(移植片対宿主病)発生割合(グレードⅢ以上[造血細胞移植学会ガイドライン・第4版(2018年4月改訂)])
第二結果評価方法
安全に投与できる推奨容量(投与細胞数)の設定
最終投与後12ヶ月までの慢性GVHD発生割合(中等症以上[造血細胞移植学会ガイドライン・第4版(2018年4月改訂)])
最終投与後30日までのウイルス量の減少割合及び臨床効果
ウイルス特異的T細胞数(最終投与2週・4週・12週後)
ウイルス感染症に対する臨床効果(最終投与6週、12週)
全生存率(最終投与6ヶ月、12ヶ月)