自家膵島移植臨床試験
目的
疼痛コントロール困難な慢性膵炎および膵動静脈奇形に対して膵全摘術を行うとともに、併せて膵島の自家移植を行い、従来膵全摘を行うと必然的に生じる膵性糖尿病を、移植膵島から分泌する内因性インスリンにより軽減する。対象である慢性膵炎患者は日本に6-7万人とされる。
お問い合わせ情報
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院
ssaito@hosp.ncgm.go.jp
03-3202-7181
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参加条件
男性・女性
選択基準
1.研究参加に関して文書による同意が得られた者 2.同意取得時の年齢が18歳以上、70歳以下の男女 3.膵全摘術が適応となりうる良性膵疾患のうち疼痛を伴う慢性膵炎(遺伝性膵炎含む)および膵動静脈奇形と診断されている者 4.前治療として保存的治療、神経ブロック、内視鏡的治療または外科的治療を受けているが、無効または不十分な効果または一時的な効果に過ぎなかった者
除外基準
1. 体重が100kgを超えている。もしくは、BMIが30kg/m2 を超えている。 2. インスリン必要量が0.8IU/kg/日以上、あるいは 55U/日以上。 3. 1型糖尿病と診断されている患者。 4. 過去1年間に複数回測定したHbA1c値(NGSP値)の平均値が10%以上。 5. 血圧:収縮期血圧が160mmHgあるいは拡張期血圧が100mmHg超えている(治療後は除外項目としない)。 6. eGFR 30ml/min/1.73㎡以下。 7. 妊娠中または授乳中である者。 8. 以下の感染症がある。B型肝炎、C型肝炎あるいは結核を含む抗酸菌症。具体的にはキャリアを含むHBs抗原あるいは-DNAの陽性者、抗体陽性者あるいは-RNA陽性者。結核を含む抗酸菌症に関しては、クオンティフェロン検査が陽性の場合、あるいは胸部CTにて潜在性結核感染症(Latent tuberculosis infection: LTBI)や非定型抗酸菌症が疑われる場合、抗酸菌症を疑って薬物治療が行われている場合をもって感染症とみなす。ツベルクリン反応は特に参考としない。 9. 担癌患者。ただし、治療後で無再発と診断されている者は除外しない。 10. 現在アルコール依存症あるいは薬物依存症を有している(治療後は除外項目としない)。アルコールに関しては、久里浜式アルコール依存症テスト(※)で0.0以上を除外基準とする。また、登録前3ヶ月は禁酒していることが必要で、禁酒できていない場合は除外とする。 11. 血中ヘモグロビン値<10 g/dL。ただし、術中に輸血を予定している場合は除外しない。 12. 凝固障害がある、もしくは移植した後も長期にわたって抗凝固剤(ワーファリンなど)の投与が必要となる医学上の状態を有する患者(低用量のアスピリン治療の場合には許容できる)、またはプロトロンビン時間のINR(International Normalized Ratio)値が1.5を超えている者。 13. 重度の併存する心疾患を有する場合。以下のいずれかの状態: ① 最近(過去6ヶ月以内に)発症した心筋梗塞。 ② 過去6ヶ月以内に心機能検査において診断された虚血障害。 ③ 左心室のejection fractionが30%未満。 14. 試験参加時に肝機能検査値が持続的に高値を示すもの。すなわちSGOT(),SGPT(),あるいは総値が、正常値上限の2倍以上の高値が持続している。ただし、肝機能検査値の上昇が、他の基質的疾患がなく、膵炎の症状抑制目的の食事制限や消化吸収障害などに起因した脂肪肝が原因と考えられる場合には、本治療により改善が見込まれるため、除外しない。 15. 門脈圧亢進症または肝線維症と診断されている者。 16. 膵腫瘍を認める者。 17. 重度の頻回な下痢、嘔吐あるいは潜在的に経口薬剤の吸収を障害する可能性のある胃腸障害を有する(治療後は除外項目としない)。 18. 試験参加の4週間以内に何らかの試験中の薬剤の投与を受けた者。 19. 試験遂行に必要な検査のための入院、定期的な外来通院が不可能である者。 20. 試験遂行に問題となる精神的異常を有している者。 21. 研究責任者または分担者が研究への組み入れを不適切と判断した者。
治験内容
介入研究
治療半年後(180日±14(日後)評価において血糖コントロールが良好な患者の割合とする。血糖コントロール良好とは、以下の①、②、③のすべてを満たした場合と定義する。 ①空腹時血中c-ぺプチド≧0.1ng/mL ②HbA1c値(NGSP値) <7.4%もしくは術前から糖尿病を合併する場合はHbA1c値(NGSP値)が術前値プラス1.0%未満 ③術後30日後から半年後まで重症低血糖発作を起こさなかった
1) 膵臓に起因する疼痛が改善した(Izbicki pain scoreが術前値より減少またはペインスコアが術前値より減少)患者の割合 2) 重症低血糖発作を起こさず血糖コントロールが良好な患者の割合。すなわち、HbA1c値(NGSP値) <7.4%もしくは術前から糖尿病を合併する場合はHbA1c値(NGSP値)が術前値プラス1.0%未満で、かつ術後30日後から半年後まで重症低血糖発作を起こさなかった患者の割合である。 3) 鎮痛薬の使用が不要となった患者の割合 4) 鎮痛薬の種類と投与量 5) SF-36およびQLQ-PAN26(CP)によるQOLの評価 6) 数値的評価スケールによるペインスコア(直前7日間の平均) 7) 体重、BMI 8) 消化酵素薬の投与量 9) インスリン導入症例の割合 10) インスリン使用量 11) HbA1c値(NGSP値) 12) 空腹時血糖値と血中C-peptide値 13) 混合食負荷試験刺激時血中C-peptide値 14) β-score 15) SUITO Index 16) OGTT2時間値 17) Insulinogenic Indexの値 18) 無自覚低血糖の回数 19) 重症低血糖発作の回数 20) 栄養評価 (血清総蛋白、アルブミン、プレアルブミン、総コレステロール、トランスフェリン、レチノール結合蛋白、ビタミンE、利き手握力) 21) 一次登録症例のうち二次登録した症例の割合 安全性評価項目: • 安全性評価項目として、有害事象を評価する。
利用する医薬品等
販売名
組織情報
国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院
東京都新宿区戸山1-21-1