JCOG2103: 画像上診断困難な胸膜播種IVA期非小細胞肺癌に対する原発巣切除の第III相試験
目的
画像上診断困難(radiologically undetermined)な胸膜播種を有する臨床病期IVA期(cT1-2bN0-1M1a)非小細胞肺癌に対し、標準的薬物療法に原発巣切除を加えることの有用性を、標準治療である標準的薬物療法単独とのランダム化比較にて検証する。
参加条件
男性・女性
選択基準
一次登録選択規準(1)以下のいずれかによって病理学的に非小細胞肺癌と診断されている。① 原発巣の組織診または細胞診② 胸膜播種病変の組織診2) 胸腔鏡下生検または開胸生検による胸膜播種病変の組織診により、病理学的に胸膜播種が確認されている(胸水細胞診陽性のみは不可)。3) 胸部造影CT(スライス厚5 mm以下)および薄切CT(スライス厚・間隔ともに2 mm以下)、脳造影CTまたはMRI、PET/CTにて以下の①~⑧をすべて満たすcT1a-2bN0-1M1a臨床病期IVA期である(UICC TNM分類第8版)。① 薄切CTにて胸膜播種病変を認めない、または胸膜播種病変があるが測定不能(最大径10 mm未満)である。② PET/CTにて胸膜に明らかなFDGの異常集積を認めない。③ 対側肺内に副腫瘍結節を認めない。④ Grade 2以上の胸水を認めない。⑤ 心嚢内に心膜播種を疑う結節を認めない。⑥ 生理的貯留を超える心嚢液貯留を認めない。⑦ 節外浸潤を有するcN1のリンパ節病変を認めない。⑧ 原発巣、N1リンパ節(cN1の場合)が部分切除、区域切除、一肺葉切除のいずれかにて完全切除可能と判断される。4) 非扁平上皮癌についてはEGFR遺伝子変異およびALK遺伝子転座の検査で陽陰性が判明している。5) 一次登録日の年齢が18歳以上79歳以下である。6) Performance status(PS)はECOGの規準で0または1である。7) 良性悪性を問わず、以下の手術歴がない。ただし、胸膜播種病変の診断目的に行った胸腔鏡 手術(補助下を含む)、ロボット支援下手術、開胸手術は手術歴に含めない。① 患側の開胸手術② 患側の肺、食道、縦隔の切除を伴う胸腔鏡手術(補助下を含む)またはロボット支援下手術(ただし、胸腔鏡による楔状切除や肺、食道、縦隔切除を伴わない胸腔鏡手術(補助下を含む)(例:胸膜生検)は許容する)③ 対側肺の楔状切除以外の肺切除術(開胸手術、胸腔鏡手術(補助下を含む)、ロボット支援下手術のいずれであるかは問わない)8) 肺癌に対する薬物療法の既往がない。9) 他のがん種も含めて放射線治療の既往がある場合、以下の①②をすべて満たす。① 患側の肺門・縦隔が照射野に含まれていない② 患側にGrade 2以上の放射線肺臓炎の既往がない10) 自己免疫疾患がない、および慢性的または再発性の自己免疫疾患の既往歴を有さない。11) 胸部CTで診断される間質性肺炎、肺線維症、高度の肺気腫のいずれか、または複数を合併していない。12) 切除後の予測残存一秒量が800 mL以上である。13) 臓器機能が保たれている。14) 試験参加について患者本人から文書で同意が得られている。二次登録の適格規準(1) 標準的薬物療法1の実施コースについて以下の①②のいずれかを満たす。① ドライバー遺伝子異常陽性の場合:本試験に一次登録されており、3コース(1コース4週間)の標準的薬物療法1が行われている。② ドライバー遺伝子異常陰性の場合:本試験に一次登録されており、4コース(1コース3週間)の標準的薬物療法1が行われている(4コース目のday 8とday 15またはday 15の投与を行わなかった場合は許容する)、または、有害事象により標準的薬物療法1が3コースで終了している。(2) 標準的薬物療法の治療効果に関して以下の①~②をすべて満たす。① 一次登録前のCTと比べて標準的薬物療法1の最終コース開始後の造影CTで病変の明らかな増大を認めない。② 標準的薬物療法1開始後、明らかな原病の増悪(腫瘍に伴う症状の出現または悪化(臨床的増悪)を含む)がない。3) 標準的薬物療法1の最終コースからの日数について、以下の①②のいずれかを満たす。① ドライバー遺伝子異常陽性の場合:最終コース(3コース)のday 1から数えて56日以内である。② ドライバー遺伝子異常陰性の場合:最終コース(3コースまたは4コース)のday 1から数えて48日以内である。4) 二次登録日が効果判定日より14日以内である5) 一次登録後57日(8週)以降182日(26週)以内である。6) 切除可能であると判断される。7) 切除後の予測残存一秒量が800 mL以上である8) 二次登録前14日以内の最新の検査値(二次登録日の2週間前の同一曜日は可)が、以下のすべてを満たす。① 白血球数≧2,000/mm3② ヘモグロビン≧8.0 g/dL③ 血小板数≧8.0×104/mm3④ 総ビリルビン≦2.0 mg/dL⑤ AST≦100 U/L⑥ ALT≦100 U/L⑦ 血清クレアチニン≦1.5 mg/dL⑧ 経皮酸素飽和度≧SpO2 93%(安静時かつ室内気にて)
除外基準
(1)活動性の重複がんを有する(同時性重複がん/多発がんおよび無病期間が5年以内の異時性重複がん/多発がん。 (2)全身的治療を要する感染症を有する。 (3)登録時に38.0℃以上の発熱を有する。 (4)妊娠中、妊娠の可能性がある、産後28日以内、授乳中のいずれかに該当する女性。パートナーの妊娠を希望する男性。 (5)日常生活に支障をきたす精神疾患または精神症状を合併しており試験への参加が困難と判断される。 (6)自己免疫疾患以外の疾患に対して、ステロイド薬等の免疫抑制薬を受けている。 (7)コントロールが不良な糖尿病を合併している。 (8)コンロトール不良の高血圧症を合併している。 (9)不安定狭心症(最近3週間以内に発症または発作が増悪している狭心症)を合併、または6か月以内の心筋梗塞の既往を有する。 (10) コントロール不良の、心臓弁膜症、拡張型心筋症、肥大型心筋症を有している。(11) HBs抗原、HCV抗体、HIV抗体のいずれかが陽性である。
治験内容
介入研究
全生存期間
無増悪生存期間、無局所増悪生存期間、無遠隔増悪生存期間、奏効割合、有害事象発生割合、重篤な有害事象発生割合、胸水(Grade 2以上)累積発生割合、QOL(EQ-5D、FACT-L)
利用する医薬品等
カルボプラチン、パクリタキセル、パクリタキセル(アルブミン懸濁型)、ペメトレキセドナトリウム水和物、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、テポチニブ、セルペルカチニブ
販売名
パラプラチン注射液50mg 等、タキソール注射液30mg 等、アブラキサン点滴静注用 100mg、アリムタ注射用100mg 等 、キイトルーダ点滴静注100mg、テセントリク点滴静注1200mg、タグリッソ錠80mg、アレセンサカプセル150mg、ザーコリカプセル200mg、タフィンラーカプセル75mg、メキニスト錠0.5mg、テプミトコ錠250mg、レットヴィモカプセル40mg
組織情報
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院
東京都中央区築地5-1-1
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