脳転移を有する未治療進行・再発非小細胞肺癌に対するラムシルマブと エルロチニブ併用療法の有効性と安全性に関する第Ⅱ相試験(SPIRAL-BRAIN)
目的
脳転移を有するEGFR 遺伝子変異陽性の未治療進行・再発非小細胞癌に対するラムシルマブとエルロチニブ併用療法の有効性と安全性を検討する
同じ対象疾患の治験
(74件)- ・切除不能な局所進行Ⅲ期非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象にMK-7684A(MK-7684とMK-3475の配合剤)併用同時化学放射線療法後のMK-7684A投与を同時化学放射線療法後のデュルバルマブ投与と比較する非盲検第Ⅲ相試験
- ・RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌、甲状腺髄様癌、及びRET活性が亢進したその他の癌を含む進行固形癌患者を対象としたLOXO-292経口剤の第I/II相試験
- ・既治療EGFR遺伝子変異陽性非扁平上皮非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ(MK-3475)+レンバチニブ(E7080/MK-7902)併用療法の第II相試験
- ・KRAS G12C 遺伝子変異陽性の進行固形がん患者を対象にMK-1084単独投与及びMK-3475と併用投与した際の安全性、忍容性、薬物動態及び有効性を評価する多施設共同、非盲検、第Ⅰ相試験
- ・未治療の転移性非小細胞肺癌患者を対象に、MK-7684A+化学療法をMK-3475+化学療法と比較する無作為化二重盲検第Ⅲ相試験
参加条件
性別
男性・女性
年齢
20歳 以上上限なし
選択基準
1) 登録前28 日以内(28 日前の同一曜日は可)の頭部MRI(可能な限り造影MRIMRIMRI)にて未治療の脳転移
(長径がスライス幅2倍以上かつ5mm以上)を有する。症状については、無症状もしくは、プレドニゾロン換算40mg 以下のステロイドによる抗脳浮腫療法によって1週間以上コントロールされていれば、軽度の症状があっても登録可能とする。定位放射線照射による治療を受けた患者については臨床的に症状が安定しており、登録時に全ての治療の有害事象から回復していること。また、脳転移に対して放射線治療を行う場合は、少なくとも1 つの非照射病変を有すること。
2) 組織診または細胞診で非小細胞肺癌と診断された患者。
3) IV 期、または根治的治療の対象とならない術後再発である。
4) 本研究の対象となるがんに対して化学療法未治療である。術前、術後化学療法については、最終投与が本研究登録日より6 ヶ月以上前であれば許容する。ただし、術前、術後化学療法にEGFR-TKI が含まれた場合は許容しない。
5) EGFR 変異陽性例(ただし、T790M 変異が確認されている患者は除く)。
6) 経口薬を服用できる患者。
7) 同意取得時年齢が20 歳以上。
8) ECOG performance status(PS)が0~2。
9) 主要臓器(骨髄、心、肺、肝など)に高度な障害がなく、以下の規準を満たしている(登録日から14 日以内のデータで直近のものを登録に用いる。登録日を基準とし、14 日前の同一曜日は可)。
好中球数 ≧ 1,500 /mm3
ヘモグロビン ≧ 9.0 g/dL
血小板数 ≧ 100,000 /mm3
AST、ALT ≦ 3.0×ULN (upper limit of normal)
(肝転移例は ≦ 5.0×ULN )
総ビリルビン ≦ 1.5×ULN
血清血清血清クレアチニンクレアチニンクレアチニン ≦ 1.5×ULN
もしくは クレアチニンクリアランス ≧ 40 mL/min
SpO2(Room air) 90%以上
PT-INR≦1.5 かつ APTTが正常上限よりも5秒以内の延長(抗凝固療法を受けていない状態で)
*ワーファリンなど抗凝固療法を受けている患者では、プロトコール療法の初回投与開始までに低分子ヘパリンに切り替えたうえでPT-INR≦3.0であることを確認すること
尿蛋白≦1+(試験紙法)、もしくは24 時間蓄尿で1000 mg/日未満
10) 脳以外の病変の有無は問わない(RECIST1.1 による測定可能病変の有無を問わない)。ただし、登録前28日以内(28 日前の同一曜日は可)の胸腹部CT 検査実施は必須である。
11) 少なくとも3 か月以上の生存が期待できる患者。
12) 登録前に以下の先行治療または処置をしていない、もしくは、先行治療または処置している場合は、先行治療または処置終了からの規定期間が経過している。
① 脳転移に対する定位照射・γナイフ治療
最終照射日から1 日以上経過している
② 脳転移に対する手術手術から7 日以上経過している(①②で治療した病変以外の1)の規準を満たす未治療脳転移を有することが必要である)
13) その他(脳転移以外)の先行治療について
① 侵襲性の高い手術(開腹手術・開胸手術など):手術から4週間以上経過している
② 胸腔ドレナージ術:抜糸から1週間以上経過している
14) 本研究登録前に研究内容の十分な説明が行われた後、患者本人から文書による同意が得られている。
除外基準
1) T790M変異が確認されている患者。
2) 登録前3ヶ月以内にGrade3以上の消化管出血または、登録前2ヶ月以内に喀血(Gradeに関係なく、ティースプーン半分の鮮血)の既往がある患者。
3) 画像診断にて腫瘍の大血管への浸潤、腫瘍による血管の狭小化又は腫瘍内空洞化を示唆する所見がみられる患者。
4)区域枝までの中枢気道に腫瘍の露出を認める患者。
5) 登録前6ヶ月以内に重篤なコントロール不能な凝固障害、または重篤な出血性合併症を発症した患者。
6) 登録前3ヶ月以内に深部静脈血栓、肺塞栓を発症した患者。
7) 登録前4週以内に脳転移以外の外科手術を受けた患者。
ただし、皮膚腫瘍切除術、内視鏡手術については手術日から1週間以上経過していれば許容する。
8) 活動性の重複がんを有する(重複がんとは、同時性重複がん重複がん重複がん及び無病期間が2年以内の異時性重複がん重複がん重複がんであり、治療を要するものとする)。
9) 髄膜播種がMRI や髄液検査で確認されている患者。
10) 登録前6 ヶ月以内に心血管・脳血管障害(心筋梗塞、脳梗塞、一過性脳虚血発作を含む)あるいはその他の動脈血栓塞栓症を発症した患者。
11) 登録前6ヶ月以内の消化管穿孔の発症や、穿孔リスクがあると判断される患者(消化管浸潤・転移等)。
12) コントロール不良の高血圧症(4週間以上にわたり、収縮期血圧が160mmHg 以上、もしくは拡張期血圧が100mmHg 以上)を有する患者。
13) 治癒していない創傷、潰瘍性病変を有する患者。
14) 登録前1ヶ月以内に骨折の既往がある患者。
15) コントロール不良の代謝性疾患(糖尿病等)を有する患者、または医療上のハイリスク状態あるいは生命の危険につながる可能性のある非腫瘍性の臓器疾患や全身疾患を有する患者。ただし、インスリンが継続的に使用されていても、コントロールが良好とみなされる場合は適格とする。
16) ドレナージなどの外科的処置を要する局所の感染症または全身性の活動性感染症を有する患者。
17) 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセンまたは類似薬など)や抗血小板薬(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレルや類似薬)を定期投与されている患者。ただし、低用量アスピリンは325mg/day まで許容し、NSAIDs はアセトアミノフェンに切り替え7日以上経過していれば、研究参加は可能とする 。
18) Child-Pugh B以上の肝硬変と診断された患者。もしくは肝性脳症や有症状の肝性腹水を呈する患者。
19) 活動性のB 型肝炎、活動性のC 型肝炎を有する患者(HBs 抗体陽性、HBc 抗体、HBs 抗原陽性であっても、ウイルス量が感度以下で、非活動性の肝炎の場合は、登録可とする。HCV 抗体陽性であっても、非活動性の肝炎の場合は、登録可とする)。
20) 登録時の胸部CT で明らかな間質性肺疾患を有する患者(ただし照射野内の放射線肺臓炎の既往・器質化は許容する)。
21) 臨床上問題となる精神疾患により本研究への登録が困難と判断される患者。
22) 臨床的に問題となる眼科疾患[例:重度の眼乾燥症候群(シェーグレン症候群を含む)、乾性角結膜炎、角膜炎など)]を合併している患者。
23) CYP3A4 を誘導する薬剤または阻害剤の内服が必要な患者。
24) ラムシルマブまたはエルロチニブの成分・添加物に過敏症を有する患者。
25) 本研究の期間中に大手術を予定している患者。
26) 妊娠中、授乳中の女性、または避妊を望まない女性。パートナーの妊娠を希望する男性。
ラムシルマブの催奇形性については十分にはわかっていないため、性的活動性がある患者の場合には、閉経後であるか、避妊手術を行っているかを確認し、有効な避妊法(ホルモン療法またはコンドーム)を用いること。妊娠可能な女性患者の場合には、プロトコール療法の初回投与前7日以内に血清妊娠検査で陰性であること。
27) その他、担当医師等が本研究の実施において不適当と判断した患者。
治験内容
介入研究
主要結果評価方法
脳転移の奏効率(iORR、 intracranial overall response rate)
第二結果評価方法
脳転移の病勢コントロール率(iDCR、 intracranial disease control rate)
脳転移の無増悪生存期間(iPFS、 intracranial progression-free survival)
脳転移以外の奏効率(eORR、 extracranial ORR)
脳転移以外の無増悪生存期間(ePFS、 extracranial PFS)
全身性の奏効率(ORR)、全身性の無増悪生存期間(PFS)
全生存期間(OS、 overall survival)
安全性
利用する医薬品等
一般名称
ラムシルマブ(遺伝子組換え)注射液、エルロチニブ塩酸塩錠
販売名
サイラムザⓇ 点滴静注液100 ㎎ / サイラムザⓇ 点滴静注液500 ㎎、タルセバ錠150 ㎎
組織情報
同じ対象疾患の治験
(74件)- ・切除不能な局所進行Ⅲ期非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象にMK-7684A(MK-7684とMK-3475の配合剤)併用同時化学放射線療法後のMK-7684A投与を同時化学放射線療法後のデュルバルマブ投与と比較する非盲検第Ⅲ相試験
- ・RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌、甲状腺髄様癌、及びRET活性が亢進したその他の癌を含む進行固形癌患者を対象としたLOXO-292経口剤の第I/II相試験
- ・既治療EGFR遺伝子変異陽性非扁平上皮非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ(MK-3475)+レンバチニブ(E7080/MK-7902)併用療法の第II相試験
- ・KRAS G12C 遺伝子変異陽性の進行固形がん患者を対象にMK-1084単独投与及びMK-3475と併用投与した際の安全性、忍容性、薬物動態及び有効性を評価する多施設共同、非盲検、第Ⅰ相試験
- ・未治療の転移性非小細胞肺癌患者を対象に、MK-7684A+化学療法をMK-3475+化学療法と比較する無作為化二重盲検第Ⅲ相試験