人工膝置換術後遷延性術後痛に対する経動脈的微細血管塞栓術の有効性および安全性評価
目的
我々はこれまで人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty: TKA)後遷延痛に滑膜炎が関与していることを明らかにしてきた。TKA後遷延痛は確立した治療法がなく、治療法開発は喫緊の課題であった。運動器に対する経動脈的微細血管塞栓療法(transcatheter arterial micro-embolization: TAME)が注目されているがTKA後遷延痛に対する有効性は不明である。またTKA後滑膜炎は炎症による血流亢進を認めておりTAMEの有効性が期待される。本研究では保存療法を対照群としたTKA後遷延性術後痛に対するTAMEのランダム化比較試験を行い、TKA後滑膜炎に対するTAMEの有効性を明らかにするとともに、TAMEで描出される新生血管とUS-PDで観察される滑膜炎の関係を明らかにする。
基本情報
参加条件
性別
男性・女性
年齢
50歳 0ヶ月 0週 以上90歳 0ヶ月 0週 未満
選択基準
以下の基準を全て満たす患者を対象とする。
① 同意取得時に、変形性膝関節症(Osteoarthritis: OA)に対する人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty: TKA)後1年以上経過している患者
② 同意取得時のpain VAS30以上の患者
③ 同意取得時の年齢が50歳以上90歳未満の患者
④ 同意取得前3か月以上の保存療法(NSAID貼付剤、教育、運動療法)に対して改善乏しい患者(pain VAS30以上)
除外基準
以下のうち一つでも該当する患者は、対象として除外する。次の基準に一つでも該当する場合は、本研究に参加することができない。
① 外科的治療の積極的適応となる患者(無菌性のゆるみなど)
② 感染、関節リウマチ、精神疾患のいずれかを有する患者
③ アライメント不良患者
④ 脊椎病変による痛みが積極的に疑われる患者
⑤ 痛みに心因性の素因が高い患者
⑥ コントロール不良の糖尿病患者
⑦ 抗血栓薬を内服している患者
⑧ 重度腎機能低下症例
⑨ 気管支喘息既往
⑩ ビグアナイド系血糖降下薬内服患者
⑪ バルプロ酸内服患者
⑫ IPM/CS、造影剤に対するアレルギーのある患者
⑬ 1年間の通院経過観察が困難な患者
⑭ 医師が不適格と認めた患者
治験内容
介入研究
主要結果評価方法
6か月時点のWOMAC pain subscaleのベースラインからの変化量の両群間の差
第二結果評価方法
① 1、4週間後、3、6、12か月後のpain VAS(安静時、歩行時)のbaselineからの変化量の両群間の差
② 1、4週間後、3、6、12か月後のWOMAC score(pain、stiffness, functional subscale, total score)のbaselineからの変化量の両群間の差(6か月のpain subscaleは除く)
③ 1、4週間後、3、6、12か月後のCentral Sensitization Inventory (CSI)のbaselineからの変化量の両群間の差
④ 1、4週間後、3、6、12か月後のtotal PDスコアのbaselineからの変化量の両群間の差
⑤ 滑膜炎(US-PD)と新生血管(造影所見)の一致率
利用する医薬品等
一般名称
イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム、イオヘキソール
販売名
チエナム、イオヘキソール300注10ml