PaTHway Japan 試験:副甲状腺機能低下症を有する日本人成人患者を対象にTransCon PTHを1日1回皮下投与したときの安全性、忍容性及び有効性を検討する、第3相、多施設共同、単群非盲検試験
目的
TransCon PTHの1日1回投与が投与26週目の血清カルシウム濃度、並びに活性型ビタミンD(カルシトリオール又はアルファカルシドール)及びカルシウムの治療用量に及ぼす治療効果を評価すること
参加条件
性別
男性・女性
年齢
18歳 以上上限なし
選択基準
1. 18歳以上の男女
2. 術後慢性副甲状腺機能低下症(HP)又は自己免疫性、遺伝性もしくは特発性HPを26週間以上有する患者。HPの診断は、血清PTH濃度が不適切に低値の状況での低カルシウム血症の既往に基づいて確定する
3. スクリーニング前の少なくとも12週間、1.0 μg/日以上のカルシトリオール又は2.0 μg/日以上のアルファカルシドールが必要であった患者。また、スクリーニング前の少なくとも5週間はカルシトリオール又はアルファカルシドールの用量が一定であること。
4. 以下の目標血清中濃度を達成するため、Visit 1前に補給製剤を最適化できる患者。
- 25(OH)ビタミンD値20~80 ng/mL(49~200 nmol/L)、かつ
- 正常範囲内又は正常範囲をわずかに下回るマグネシウム値[1.3 mg/dL(0.53 mmol/L)以上]、かつ
- 以下の正常範囲内又は正常範囲をわずかに下回るアルブミン補正又はイオン化血清Ca(sCa)値
− アルブミン補正sCa:7.8~10.6 mg/dL(又は1.95~2.64 mmol/L)
− イオン化sCa:4.40~5.29 mg/dL(又は1.10~1.32 mmol/L)
5. 24時間尿中Ca(uCa)排泄量が125 mg/24h以上の患者(スクリーニング前52週間以内又はスクリーニング期間中に採取した検体での測定)。
6. スクリーニング時の体格指数(BMI)が17~40 kg/m^2の患者。
7. 25歳以下の患者の場合、利き手ではない方の手関節及び手のX線検査により骨端線閉鎖が放射線学的に確認されている患者。
8. Visit 1前6週間以内の甲状腺刺激ホルモン(TSH)が臨床検査基準値内の患者。甲状腺癌の既往歴に対する抑制療法を受けている場合はTSH値が0.2 mIU/L以上であること。
9. 甲状腺ホルモン補充療法を受けている場合は、スクリーニングの5週間以上前から用量が一定であること。
10. スクリーニング期間中の推算糸球体濾過量(eGFR)が30 mL/min/1.73 m^2以上の患者。
11. プレフィルド注射ペンを用いて、TransCon PTHを1日1回自身で皮下注射できる(又は指名された者に注射を行わせることができる)患者。
12. 医薬品の臨床試験の実施に関する基準に従って、署名した同意・説明文書を提出する能力及び意思がある患者。
除外基準
1. PTHに対する反応性が低下(偽性副甲状腺機能低下症)してPTH抵抗性となり、低カルシウム血症の状況でPTH濃度が上昇している患者
2. カルシウム代謝、カルシウム・リン恒常性又はPTH濃度に影響を及ぼす可能性があるHP以外の疾患。活動性甲状腺機能亢進症、骨ページェット病、重度の低マグネシウム血症、1型糖尿病又はコントロール不良の2型糖尿病(HbA1C 9%超、スクリーニング前12週間以内のHbA1Cの結果が記録されている場合は使用してもよい)、重度かつ慢性の肝疾患又は腎疾患、クッシング症候群、多発性骨髄腫、活動性膵炎、栄養障害、くる病、最近の長期臥床、活動性悪性腫瘍(低リスクの高分化型甲状腺癌及び非黒色腫皮膚癌を除く)、活動性副甲状腺機能亢進症、スクリーニング前5年以内の副甲状腺癌、先端巨大症、多発性内分泌腫瘍症1型及び2型など。
3. 0.2 mIU/L未満のTSH抑制が必要な2年以内の高リスク甲状腺癌
4. ループ利尿薬、リン吸着薬(カルシウム補給製剤以外)、ジゴキシン、リチウム、メトトレキサート、30 μg/日超のビオチン又は全身性コルチコステロイド(補充療法として使用する場合を除く)の使用。
5. Visit 1前1週間以内に予定されている24時間蓄尿前4週間以内のサイアザイド系利尿薬の使用。
6. スクリーニング前4週間以内のPTH(1-84)、PTH(1-34)、その他のPTH又はPTH関連蛋白質のN末端フラグメントや類似体などのPTH様薬剤(市販薬であるか治験薬であるかは問わない)の使用。
7. スクリーニング前12週間以内のカルシトニン、フッ化物錠(0.5 mg/日超)、ストロンチウム、シナカルセト塩酸塩などのカルシウム及び骨代謝に影響することが知られているその他の薬剤の使用。
8. スクリーニング前2年以内のカルシウム及び骨代謝に影響することが知られている骨粗鬆症治療薬[ビスホスホネート(経口又は静脈内投与)、デノスマブ、ラロキシフェン又はロモソズマブ]の使用。
9. スクリーニング前26週間以内の痙攣発作の既往を伴う非低カルシウム血症の発作性疾患。
10. 骨肉腫のリスクが高い患者(骨ページェット病、原因不明のアルカリホスファターゼ上昇、骨肉腫の素因となる遺伝性障害、骨格を含む領域に対する高線量の外照射もしくは組織内照射療法の治療歴がある場合など)。
11. 妊婦又は授乳婦。
12. 女性パートナーが妊娠を希望している、又は女性パートナーが妊娠可能で治験中に適切な避妊法を使用する意思のない男性患者。
13. スクリーニング前3年以内に薬物又はアルコール依存症と診断された患者。
14. 消化管吸収に悪影響を及ぼす疾患の過程。これには短腸症候群、広範囲の小腸切除、胃バイパス、熱帯性スプルー、活動性セリアック病、活動性潰瘍性大腸炎、活動性クローン病、胃不全麻痺及び吸収不良を伴うautoimmune regulator(AIRE)遺伝子変異を含むが、これらに限定されない。
15. スクリーニング前26週間以内の慢性又は重度の心疾患。これにはうっ血性心不全、心筋梗塞、重度又はコントロール不良の不整脈、徐脈(安静時心拍数48拍/分未満、ただし慢性及び無症候性のものは除く)、症候性低血圧(収縮期血圧80 mm Hg未満又は拡張期血圧40 mm Hg未満)、コントロール不良の高血圧(収縮期血圧165 mm Hg超又は拡張期血圧95 mm Hg超)を含むが、これらに限定されない。高血圧の既往歴がなく、白衣高血圧/不安により165/95を超える血圧が孤発的に測定された場合は除外せず、Visit 1前に再度測定してもよい。
17. スクリーニング前26週間以内の腎結石症による急性疝痛又は急性痛風。無症候性腎結石の被験者は組み入れてもよい。
18. スクリーニング前8週間以内又は治験薬の半減期の5.5倍の期間以内(いずれか早い方)に治験薬又は治験機器を使用した他の介入試験に参加した患者。
19. 治験責任(分担)医師の判断で治療が必要となる、又は治験を完了できなくなると考えられる疾患もしくは状態、又は治験薬もしくは治験手順による過度のリスクをもたらす状態(治療したが、治験期間中に再発する可能性のある悪性腫瘍など)。
20. PTH又はその添加剤[メタクレゾール、マンニトール、コハク酸、NaOH/(HCl)]に対する既知のアレルギー又は過敏症を有する患者。
21. 治験手順を遵守しない可能性が高い患者。
22. 治験責任(分担)医師の判断において、その他の理由で治験を完了できない、又は治験スケジュールを遵守できないと考えられる患者。
治験内容
介入研究
主要結果評価方法
投与26週後の以下の被験者の割合:
- アルブミン補正血清Ca(sCa)が正常範囲(8.3~10.6 mg/dL)内、かつ
- 活性型ビタミンDからの離脱、かつ
- 治療用量のカルシウムからの離脱(すなわちカルシウム補給製剤の投与量が600 mg/日以下)
第二結果評価方法
- 36 Item Short Form Survey(SF-36)のベースラインからの変化量(投与26週後)
- カルシウム及び活性型ビタミンDの用量
- 活性型ビタミンD及びカルシウムの一日の「pill burden(錠剤数の負担)」(経口錠、散剤、液剤、懸濁液又は経皮パッチとして)
- 血清リン酸値(sP)
- アルブミン補正sCaとsPの積(アルブミン補正sCaとsPの積が55 mg^2/dL^2以下、52 mg^2/dL^2以下及び44 mg^2/dL^2以下の被験者の割合を含む)
- アルブミン補正sCa
- DXAによるBMD及びTBS
- 骨代謝マーカー(血清P1NP及びCTx)
- 血清マグネシウム値
- 臨床全般印象度-重症度
利用する医薬品等
一般名称
TransCon PTH (Palopegteriparatide)
販売名
なし