自己脂肪組織由来多系統前駆細胞を用いた歯周組織再生療法の開発
目的
現在臨床応用されている歯周組織再生療法では十分な臨床的効果が期待できない重度の辺縁性歯周炎患者(年間7-10万人と想定)を対象とし、フラップ手術を施行する際に、自己脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)を骨補填材である炭酸アパタイトとともに移植し、当該治療法の有効性、安全性及び多施設実施の可能性を評価することを目的とする。先行研究にてADMPCの自己移植が重度歯周炎患者に対し有効性を示したことに加え、前臨床研究として実施した動物実験にてADMPCを炭酸アパタイトとともに移植することにより、重度歯周病モデルにて良好な組織再生が認められたことから、既存の歯周組織再生療法では対応できない症例に対し有効性が期待できる。
参加条件
男性・女性
選択基準
1) 同意取得時に20歳以上の患者。2) 以下の全てを満たす被験歯を有する患者。1. 初診時に重度歯周炎(歯槽骨吸収度33%以上、アタッチメントロス5mm以上、プロ-ビングポケットデプス6mm以上、のいずれかの条件を満たす)と診断された歯。2. 近心または遠心部に、幅2mm以上の垂直性骨欠損、あるいは深さ4mm未満、幅2mm未満の1、4壁性の垂直性骨欠損のいずれかが認められる歯。3. 動揺度が2度以下で、フラップ手術が可能と判断される角化歯肉が存在する歯。3) 被験者の選択に至る再評価において、歯周基本治療が完了している患者。4) 口腔衛生が確立しており、幹細胞移植術後も実施責任者又は再生医療等を行う歯科医師の指導に従った口腔清掃を行うことが可能であると実施責任者又は再生医療等を行う歯科医師が判断した患者。5) 本臨床研究の参加について文書により同意が得られている患者。
除外基準
1) 被験部位の臨床的アタッチメントレベルの正確な測定に支障をきたす補綴物等が存在している患者。2) 悪性腫瘍を合併している、またはその既往がある患者。3) 登録前口腔内診断において、口腔内に悪性腫瘍、前癌病変またはそれらが疑われる所見のある患者。4) ビスホスホネート系薬剤を使用したことがある患者、また使用する予定のある患者。5) 幹細胞移植術後36週以内に有効性又は安全性の評価に影響を及ぼす治療を行うことが必要な患者。6) 妊娠中、授乳中、移植36週後までに妊娠を希望している、または妊娠の可能性がある患者(登録前妊娠検査により判断)。7) 重度な血液疾患、骨標的ホルモン代謝異常の患者。8) 腎臓、消化器等のカルシウム代謝系器官の異常や膠原病の疑いのある患者。9) 人工透折中の患者、ステロイド剤投与中の患者。10) 重度の併発疾患(感染症、免疫不全症、心疾患等)または精神障害等、臨床研究の要件を遵守することが制限される管理不能な併発疾患を有する患者。11) 登録前臨床検査でヘモグロビンA1cが6.5%以上の患者。12) アルコール中毒症又は薬物依存症の既往を有する患者。13) HCV抗体、HBs抗原、ATLA抗体、HIV抗体が陽性の患者。14) その他、実施責任者の判断により、本臨床研究への参加が不適当と考えられる患者。
治験内容
介入研究
移植36週後の臨床的アタッチメントの獲得量及びその経時的変化
1) 移植36週後の新生歯槽骨の増加率及びその経時的変化2) 歯周組織検査値の経時的変化
利用する医薬品等
販売名
組織情報
大阪大学歯学部附属病院
大阪府吹田市山田丘1番8号