この治験は、心房細動合併患者にエドキサバンを内服させ、TAVI術後3ヶ月とベースラインの差を検討することで、血栓弁の発症機序や寄与因子を明らかにすることを目的としています。また、血栓形成能の解析も行われます。
この治験に参加できる人は、20歳以上で男性でも女性でもOKです。ただし、以下の条件を満たす必要があります。①20歳以上であること、②重症大動脈弁狭窄症でTAVI施行予定であること、③心房細動を合併しており、抗凝固療法が必要なこと、④治験に参加することについて十分な説明を受け、理解した上で自由意思による文書同意が得られたことです。ただし、以下の条件を満たす人は参加できません。①エドキサバンの成分に過敏症の既往がある人、臨床的に問題となる出血症状のある人、血液凝固異常及び臨床的に重要な出血リスクを有する肝疾患患者、急性細菌性心内膜炎の人、重度の腎障害(クレアチニンクリアランス15mL/min未満)の人、②弁膜症性心房細動(リウマチ性僧帽弁狭窄症あるいは機械弁置換術後)の人、③主治医が研究参加に不適切と判断した人(出血リスクが高い人、重度の肝障害がある人、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性など)。
この治験は、重症大動脈弁狭窄症という病気を対象にした介入研究で、フェーズ4に位置します。主な評価方法は、TAVI術後1週間後と3ヵ月後の最大低輝度弁尖肥厚の差です。また、血栓形成能や血管力学、死亡や合併症なども評価されます。治験に参加する患者さんは、治療法の効果や安全性を調べるため、定められたプロトコルに従って治療を受けます。治験コーディネーターは、患者さんの安全を確保しながら治験を進める役割を担います。
介入研究
TAVI術後1週間後と3ヵ月後の最大低輝度弁尖肥厚(maximal leaflet thickness, mm)の差
1)TAVI1週間後および3か月後の無症候性弁血栓の性状
1. %RELM: reduced leaflet motion
2. 血栓の最大面積
3. 血栓の付着部位
2)TAVI前後の血栓形成能の変化
1. AR10-AUC30の測定 PL24-AUC10の測定
2. von Willebrand因子
3. 抗Xa活性
3) TAVI弁周囲の数値流体力学的相違
1. wall shear stress
2. oscillatory shear index
4) TAVI術後1週間後と3ヵ月後の最大低輝度弁尖肥厚およびその差に関与する因子
5) 3か月後の全死亡、心筋梗塞、脳梗塞、一過性脳虚血発作、急性腎障害、出血合併症、血管合併症、新規の伝導障害および不整脈
※全死亡の定義: The Valve Academic Research Consortium-2 (VARC-2)基準に準じる。
1 心血管死
1.1 心筋梗塞、心タンポナーデ、心不全等の心原性によるもの
1.2 非冠動脈疾患(脳梗塞、肺塞栓症、大動脈瘤破裂、大動脈解離など)
1.3 手技関連死
1.4 弁関連死(弁機能不全や構造的不全など)
1.5 突然死もしくは目撃者のいない死亡
1.6 原因不明の死亡
2 非心血管死
2.1 明らかな心臓以外が原因の死亡(外傷、癌、自殺など)
※心筋梗塞の定義: VARC-2基準に準じる。
1 周術期心筋梗塞(TAVI後72時間以内)
1.1 新規の虚血性症候もしくは心室性不整脈やST変化、異常Q波、うっ血性心不全、壁運動異常、心筋Viabilityの消失といった兆候があり、TAVI後72時間以内に心筋バイオマーカーの上昇を認める場合
2 心筋梗塞(TAVI後72時間を超える))
2.1 心筋バイオマーカーの上昇および/もしくは低下を認め、虚血性症候、もしくは虚血性の心電図変化(ST-T変化、左脚ブロック、異常Q波)、もしくは心筋Viabilityの消失や壁運動異常、もしくは予期しない心臓突然死、もしくは心筋梗塞の病理所見がある場合
※脳梗塞および一過性脳虚血発作の定義: VARC-2基準に準じる。
1 脳梗塞
1.1 24時間以上持続する局所的または全体的な神経学的障害、もしくは24時間以内の局所的または全体的な神経学的障害があり、画像検査で新規の急性出血もしくは梗塞を認めるもの、もしくは神経学的障害による死亡
2 一過性脳虚血発作
2.1 24時間以内の局所的または全体的な神経学的障害があり、画像検査で新規の急性出血もしくは梗塞を認めないもの
※急性腎障害の定義: VARC-2基準に準じる。
1 ステージ1: TAVI後48時間以内に、ベースラインよりも1.5-1.99倍のクレアチニンの上昇、もしくはクレアチニン0.3mg/dL以上の上昇、もしくは尿量が0.5mL/kg/hr以下が6時間以上12時間未満
2 ステージ2: TAVI後48時間以内に、ベースラインよりも2.0-2.99倍のクレアチニンの上昇、もしくは尿量が0.5mL/kg/hr以下が12時間以上24時間未満
3 ステージ3: TAVI後48時間以内に、ベースラインよりも3倍のクレアチニンの上昇、もしくはクレアチニン4.0mg/dL以上(少なくともクレアチニン0.5mg/dL以上の急性の上昇を伴う)、もしくは尿量が0.3mL/kg/hr以下が24時間以上、もしくは12時間以上の無尿
※出血性合併症の定義; VARC-2基準に準じる。
1. 生命を脅かす出血で、以下のうちの一つを満たすもの
1.1 致死的な出血
1.2 主要臓器の出血(頭蓋内出血、脊髄内出血、眼内出血、心嚢内出血、コンパートメント症候群を伴う筋肉内出血)
1.3 昇圧剤もしくは外科的手術が必要な出血性ショック
1.4 ヘモグロビンが5g/dL以上の低下、もしくは、4単位以上の全血または赤血球輸血が必要な明白な出血
2 大出血
2.1 上記1)以外の出血で、ヘモグロビンが3g/dL以上の低下、もしくは2単位以上の全血または赤血球輸血が必要、もしくは入院を要する、もしくは永続的な障害を来す、もしくは外科的手術が必要な明白な出血
3 小出血
3.1 上記1), 2)以外の出血で、臨床的に重要な出血(穿刺部位の血腫など)
※血管合併症の定義: VARC-2基準に準じる。
1 主要な血管合併症; 以下のいずれか一つを満たすもの
1.1 大動脈解離、大動脈破裂、大動脈弁輪破裂、左室穿孔、心尖部心室瘤
1.2 アクセス部位関連の血管障害で全死亡、致死的出血、大出血、臓器虚血もしくは神経学的障害を来すもの
1.3 遠隔臓器への塞栓症で切断を含む外科的介入が必要もしくは不可逆的なもの
1.4 予期しない血管内治療もしくは外科的介入を行ったもので、全死亡、致死的出血、大出血、臓器虚血もしくは神経学的障害に関連するもの
1.5 自覚症状または理学所見を伴う、もしくは血管造影で血流低下・途絶を認める、アクセス部位と同側の下肢虚血
1.6 アクセス部位関連の神経学的障害に対する外科的介入
1.7 永続的なアクセス部位関連の神経学的障害
2 軽微な血管合併症
2.1 アクセス部位関連の血管障害で全死亡、致死的出血、大出血、臓器虚血もしくは神経学的障害を来さないもの
2.2 血栓塞栓除去術によって治療可能な遠隔臓器への塞栓症で、切断や不可逆的な臓器障害を来さないもの
2.3 予期しない血管内治療もしくは外科的介入を行ったもので、主要な血管合併症に該当しないもの
2.4 血管修復が必要な状態
3 創部閉鎖デバイスの不全
※新規の伝導障害および不整脈: VARC-2基準に準じる。
1. 新規または増悪する房室ブロック
2. 新規のペースメーカー植え込み術
3. 新規の心房細動および心房粗動
4. 血行動態不安定もしくは治療介入が必要な不整脈
フェーズ4: 市販薬の再調査
エドキサバン
リクシアナ
熊本大学病院
熊本県熊本市中央区本荘1-1-1
治験の詳細を確認し、患者の方に合致しているかを診断してください
ご確認後、連絡が適切だと判断された場合は上記のお問い合わせ情報から担当の方にご連絡ください
Kibou は治験の募集・情報提供をすることを目的としたプラットフォームです。 治験情報の提供や、被験者の募集について詳しい資料の請求はお問い合わせフォームからお問い合わせください。