マイクロ流体技術を用いた精子選別の有用性の検討
目的
体外受精(顕微授精)では、良好な運動精子を回収するため、遠心分離機を使用した密度勾配遠心法やSwim-up法(精子の運動を利用して、より良い運動精子を回収する方法)を実施するのが一般的で、それにより妊娠・出産に至った症例もあるが、胚移植できる受精卵が得られない、受精卵を胚移植しても妊娠に至らない症例もある。ZyMōtは遠心分離を使用せず、短時間で質の良い精子の回収が可能なキットであるが、両精子調整における臨床的優位性に関する結論は明確に得られていない。本研究では、従来法とZyMōtによる精子調整を行った顕微授精での成績を比較検討することで、ZyMōt法の優位性の有無を検討し、生殖補助医療(ART)における不妊治療成績の向上につなげることを目的とする。
参加条件
女性
選択基準
1) 1回以上顕微授精を実施しても移植可能胚が得られず、または胚移植しても妊娠に至らなかったカップル2) 次の採卵で顕微授精を予定するカップル3) 本人の自由意思により文書(書面)での同意の取得が可能なカップル
除外基準
1) 男性が高度乏精子症のカップル(原精液:総運動精子数 10万未満)(総運動精子数=液量(ml)×精子濃度(1mlあたり)×精子運動率(%)で算出)2) 男性がTESE/TESA/PESAの対象となるカップル3) 凍結融解精子を使用予定のカップル4) 生殖補助医療治療計画書を作成時の女性年齢が43歳以上のカップル5) その他、研究責任(分担)医師が本研究を安全に実施するのに不適当と判断したカップル
治験内容
介入研究
ZyMōtを用いた精子調整で得られた精子と、従来法を用いた精子調整で得られた精子用いて実施した顕微授精での胚盤胞到達率・胚盤胞到達率:培養 5~6 日目に Gardner 分類に基づき胚盤胞の形態評価を行い、胚盤胞へ発生した割合を求める。胚盤胞到達率は、胚盤胞数/採卵後3日目以降追加培養胚数×100 (%)で算出する。(採卵後3日目追加培養胚数=2PN数-採卵後2ないし3日目胚移植数)*ZyMōtでの精子調整で得られた精子を使用した受精卵の胚質の改善を評価する
・良好胚盤胞率:培養 5~6 日目にGardner 分類に基づき胚盤胞の形態評価を行い、3BB以上の胚盤胞へ発生した割合を求める。胚盤胞到達率は、3BB以上の良好胚盤胞数/採卵後3日目以降追加培養胚数×100 (%)で算出する。(採卵後3日目追加培養胚数=2PN数-採卵後2ないし3日目胚移植数)・臨床的妊娠率:移植後 14日目前後の血中hCG濃度が50mIU/ml以上で、移植から6~8 週の時点で胎嚢が確認できた時点で臨床的妊娠と判断し、妊娠率を求める。妊娠率は、臨床的妊娠症例数/移植症例数×100 (%)で算出する。・着床率:移植後14日目前後の血中hCG濃度が50mIU/ml以上で、移植から6~8 週の時点で経腟超音波下での胎嚢が確認できた時点で着床したと判断し、着床率を求める。着床率は、胎嚢数/移植胚数×100 (%)で算出する。・流産率:臨床的妊娠後、流産した数を求める。流産率は、流産症例数/臨床的妊娠症例数×100 (%) で算出する。*ZyMōtでの精子調整で得られた精子を使用した受精卵の胚質の改善および胚移植した際の妊娠率向上や流産率低下を評価する
利用する医薬品等
販売名
組織情報
岡山二人クリニック
岡山県岡山市北区津高285-1