医師主導治験
運動療法補助システムの効果を調べる2型糖尿病患者の比較試験
目的
この治験は、2型糖尿病の患者に対して運動療法補助システムが安全で効果的かどうかを調べるものです。
対象疾患
参加条件
この治験に参加できる人は、18歳以上で男性でも女性でもOKです。ただし、以下の条件をすべて満たす必要があります。 1) 2型糖尿病であること(自己抗体が陽性でなく、遺伝的素因と環境因子が原因で発症した糖尿病) 2) 同意取得時に行動変容ステージが熟考期、準備期もしくは実行期であること 3) 同意取得時のHbA1cが7.5%以上、10%以下であること 4) 同意取得日から遡って8週間以内に糖尿病治療薬の変更がないこと 5) 同意取得日に年齢18歳以上であること 6) 同意取得時に血圧180/110 mmHg未満であること 7) 同意取得日から遡って12週間以内にeGFRが少なくとも1回45mL/min/1.73m2以上が確認されていること 8) 同意取得日から遡って1年以内に尿アルブミン・クレアチニン比が少なくとも1回300 mg/gCr未満が確認されていること 9) 同意取得時にBMI22kg/m2以上であること 10) 同意取得日から遡って12週以内に重篤な低血糖発作の既往がないこと 11) 同意取得日から遡って12週以内に低血糖発作である可能性が高い症状を起こしていないこと 12) 治験期間中、指定された時期に診察を受けることができること 13) 十分な説明を受けた後、患者本人の自由意思による文書同意が得られたこと 一方、以下の条件に該当する人は治験に参加できません。 1) 同意取得時の行動変容ステージが前熟考期もしくは維持期であること 2) 同意取得日から遡ること4週間の1日あたりの平均歩数が継続的に1万歩以上であることが確認できること 3) ペースメーカーによる管理下にあること 4) CGMの管理下にあること 5) 甲状腺機能亢進症と診断されており、同意取得日から遡って1年以内に甲状腺ホルモン製剤補充以外の治療歴があること 6) 中等度以上の心疾患を有すること 7) 運動療法の制限が必要と主治医が判断すること 8) 同意取得時のHbが10g/dL未満であること 9) 同意取得時の血清Albが3.0g/dL以下であること 10) 同意取得日から遡って1年以内に増殖前網膜症以上の網膜症を指摘されていること 11) 運動療法が行えないこと 12) 妊婦または授乳婦および妊娠の可能性(意思)のあること 13) 他の臨床試験に参加していること 14) 認知機能に問題があると判断されること 15) その他、治験責任医師又は治験分担医師が本試験の対象として不適切と判断したこと *ただし、SMBGもしくはisCGMを行なっている場合は、同意取得時から遡って8週間以上であっても除外されません。 **運動療法の制限が必要かどうかは、「糖尿病治療ガイド(日本糖尿病学会編・著2022-2023)」の「運動療法を禁止あるいは制限した方がよい場合」を参考にして判断されます。 ***不適切と判断された理由は記録に残されます。
治験内容
この治験は、2型糖尿病の治療について調べるものです。治験のフェーズはフェーズ3で、治験期間中に患者さんの血糖値の変化を調べます。主要な評価方法は、治験に参加する2つのグループのHbA1c(血糖値の平均値)を比較することです。また、患者さんの身体機能や自己管理行動、QoL(生活の質)なども評価します。安全性についても調べ、低血糖や高血圧、疼痛などの有害事象が発生する頻度を調べます。
AI 要約前の参加条件
介入研究
主要結果評価方法
HbA1cについてスクリーニング期(本登録時V2)の測定値と12週目(V5)、24週目(V8)またはそれ以前の中止時のうち最新の測定値との変化量を2群で比較する。
第二結果評価方法
1.有効性評価項目
1-1)HbA1cについて
1) 各群においてスクリーニング期(本登録時V2)と12週目(V5)またはそれ以前の中止時を前後比較、スクリーニング期(本登録時V2)と24週目(V8)またはそれ以前の中止時を前後比較、スクリーニング期(本登録時V2)と36週目(V9)またはそれ以前の中止時を前後比較する。
2) 2群間でスクリーニング期(本登録時V2)から12週目(V5)またはそれ以前の中止時までの変化量、スクリーニング期(本登録時V2)から36週目(V9)またはそれ以前の中止時までの変化量を比較する。
3) 2群間で12週目(V5)またはそれ以前の中止時における7%未満の割合、24週目(V8)またはそれ以前の中止時における7%未満の割合、および36週目(V9)またはそれ以前の中止時における7%未満の割合を比較する。
1-2)その他有効性評価項目
以下項目についてスクリーニング期(同意取得時 V0)から24週目(V8)またはそれ以前の中止時までの変化量、スクリーニング期(同意取得時 V0)から12週目(V5) またはそれ以前の中止時までの変化量をシステム使用群と対照群の2群間で比較する。2)〜16)についてはスクリーニング期(同意取得時 V0)から36週目(V9)またはそれ以前の中止時までの変化量も評価する。尚、1)については、スクリーニング期(同意取得時 V0)ではなくスクリーニング期(ベースラインの歩数取得V1)を変化量の前値として用い、前後比較も行い、推移を評価する。17)については、スクリーニング期(同意取得時 V0)ではなく介入開始後(V2~V3)を変化量の前値として用い、②はシステム使用群のみにおいて前後比較を行う。18)については24週目(V8)またはそれ以前の中止時について評価し、システム使用群のみで実施する。19)についてはスクリーニング期(同意取得時 V0)における測定値を評価する。
1) 1日あたりの歩数
2) 空腹時血糖値(mg/dL)(食後5時間以上)
3) eGFR (mL/min/1.73m2)
4) BMI(kg/m2)
5) 収縮期および拡張期血圧(mmHg)
6) HDL-コレステロール(mg/dL)、LDL-コレステロール値(mg/dL)、中性脂肪(mg/dL)
7) 併用薬の服薬状況(治療薬の種類・1日投与量(1週間製剤については1週間の投与量))
糖尿病治療薬については、服薬状況を「増強・不変・減弱」にて評価
新規薬物追加(糖尿病治療薬、高血圧治療薬、脂質異常症治療薬)の「有・無」
8) 身体機能の変化(ロコモ25)
9) 自己管理行動の変化
The Summary of Diabetes Self-Care Activities Measure (SDSCA) 日本語版(大徳, 2006)の各下位尺度得点(一般的な食事、特別な食事、運動、血糖自己測定、服薬管理、フットケア)
10) 身体活動量増加のための「行動の工夫」の変化
2型糖尿病患者の身体活動調査票 Evaluation scale for self-management behavior related to physical activity of type 2 diabetic patients (ES-SMBPA-2D)(Nakawatase, 2007)の各下位尺度得点および各項目の実施頻度
11) 身体活動に対する自己調整の実施度の変化Physical Activity Self-Regulation scale (PASR-12) 日本語版 (Watanabe, 2017)
12) ウォーキングの自己効力感の変化
① 特定の歩数の目標を達成する自己効力感(福島, 2011をもとに作成)
② ウォーキングのバリアに対処する自己効力感:ウォーキング行動のセルフ・エフィカシー尺度(中山, 2002)
13) 自己管理行動全般の自己効力感の変化
健康行動に対するセルフ・エフィカシー尺度(金, 1996)の「疾患に対する対処行動の積極性」下位尺度得点
14) 心理的負担の変化(PAID)
15) QoLの変化(ADDQoL)
16) ウォーキング時間
17) アプリの利用状況(②はシステム使用群のみで評価)
① 各登録項目(歩数、血圧、体重)の登録率
② 目標達成率(目標達成日数÷利用期間の日数×100 (%))、目標増加率(目標増加回数÷目標設定日の数×100 (%))、目標減少率(目標減少回数÷目標設定日の数×100 (%))、平均チャレンジ実施数(1日のチャレンジ実施数の利用期間を通しての平均)、バリアの特定数
18) システムの有用性・ユーザビリティ(システム使用群のみで評価)
19) ヘルスリテラシー
2.安全性評価項目
治験期間中の自覚的低血糖の発症頻度およびドクターコール(高血圧)の発生頻度、疼痛の発生・悪化頻度およびその他の有害事象
治験フェーズ
フェーズ3: 多くの実際の患者さんが対象
利用する医薬品等
利用する薬品情報はありません
実施組織
東京大学医学部附属病院
東京都文京区本郷7-3-1
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