心不全増悪入院患者におけるアンジオテンシン・ネプリライシン阻害薬の研究(PREMIER study)
目的
心不全増悪による入院患者に対して、標準治療と比較したサクビトリルバルサルタンの効果をNT-proBNPの変化を指標に検証する。
同じ対象疾患の治験
(48件)- ・NIHA-001の性能を評価する多施設共同単群試験
- ・心疾患患者に対するβヒドロキシβメチル酪酸カルシウムを併用した運動療法の効果
- ・心房細動を合併した左室駆出率の保たれた心不全患者における、リズムコントロールが運動耐容能や心血管予備能、予後に与える効果の検討
- ・無症候性心不全患者におけるSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの心臓周囲脂肪減少効果を指標とする有効性と安全性を検討する多施設共同ランダム化比較試験
- ・心不全を有する20歳から90歳の男性および女性被験者を対象とした、心肺運動負荷検査における新医療機器:汗計測装置より求められた乳酸性代謝閾値と心肺運動負荷検査における呼気ガス分析装置により求められた嫌気性代謝閾値の相関研究試験:前向き単施設研究
参加条件
性別
男性・女性
年齢
20歳 以上上限なし
選択基準
1)本研究への参加について本人から文書により同意が得られた患者
2)同意取得時の年齢が20歳以上の患者(性別不問)
3)心不全症状(安静時もしくは軽労作での呼吸苦など)およびうっ血徴候(浮腫、胸部湿性ラ音、胸部レントゲンによるうっ血像など)を伴う心不全増悪を契機とした入院患者(左室駆出率は不問)
4)NYHA分類II~IV
5)ACE阻害薬もしくはARBの投与を受けている患者
6)今回の入院後7日間以内に無作為化が可能な患者
7)以下の血行動態の安定基準を満たしている患者
I.収縮期血圧100 mm Hg以上
II.無作為化前の6時間以内に利尿薬の静注が増量されていない
III.血管拡張薬(カルペリチド、硝酸薬など)や強心薬の静注が実施されていない
8)今回の入院前48時間から適格性判定時までのナトリウム利尿ペプチドが以下の基準値を満たす患者
NT-proBNP ≥1200 pg/mL もしくはBNP ≥300 pg/mL
除外基準
1)サクビトリルバルサルタンを現在服薬中もしくは無作為化の過去30日以内に服薬していた患者
2)サクビトリルバルサルタンおよびACE阻害薬やARBの成分に対する過敏症の既往、もしくはそれらの薬剤に対する投与禁忌・不耐が想定される患者
3)血管浮腫の既往を有する患者
4)重度腎機能障害患者(eGFR 30 mL/min/1.73m2未満)、維持透析患者、既知の両側腎動脈狭窄(片腎の患者では残存腎における既知の腎動脈狭窄)を有する患者
5)重度の肝機能障害(Child-Pugh分類 C)を有する患者
6)アリスキレンフマル塩酸塩を投与中の糖尿病患者
7)血清カリウム値が5.3 mEq/L以上の患者
8)心原性ショックの患者
9)心肺補助装置や左室補助人工心臓、人工呼吸器を装着している患者
10)無作為化の過去30日以内に、急性冠症候群や脳卒中を発症した患者
11)無作為化の過去30日以内に、心血管疾患に対して外科的もしくは経皮的治療の既往を有する患者
12)個々の観察期間中に冠動脈再建、心血管疾患に対する外科的もしくは経皮的治療が予め計画されている患者
13)個々の観察期間中に電気的除細動、心臓再同期療法やペースメーカー植え込みなどの治療が予め計画されている患者
14)閉塞性肥大型心筋症もしくはアミロイドーシスやサルコイドーシスなどの浸潤性心筋症の既往を有するもしくは合併している患者
15)活動性の心膜疾患を有する患者
16)心臓移植の既往もしくは心臓移植待機中の患者
17)活動性の感染性疾患もしくは重篤な慢性呼吸器疾患を有する患者
18)妊娠中または妊娠の可能性のあるあるいは授乳中の患者
19)その他、研究責任医師または分担医師が本研究に対し不適当と判断した患者(活動性の悪性腫瘍を合併する患者など)
治験内容
介入研究
主要結果評価方法
ベースラインと比較したプロトコール治療開始後8週における幾何平均NT-proBNPの変化率の群間比
第二結果評価方法
1.ベースラインと比較したプロトコール治療開始後4週における幾何平均NT-proBNP変化率の群間比
2.プロトコール治療開始後8週におけるNT-proBNP値がベースラインから50%以上低下した症例の割合
3.プロトコール治療開始後4週におけるNT-proBNP値がベースラインから30%以上低下した症例の割合
4.プロトコール治療開始後4週と8週における平均NT-proBNP値がベースラインから40%以上低下した症例の割合
5.プロトコール治療開始後8週における心筋トロポニンT、CRP、GDF-15、可溶性ST2、グリコアルブミン、1.5AGのベースラインからの変化量・変化率
6.プロトコール治療開始後4週および8週における体重、BMI、血圧、脈拍数、臨床検査値、NYHAクラスのベースラインからの変化量・変化率
7.プロトコール治療開始後8週における心臓超音波検査による心機能指標(LVEDV、 LVESV、LVEF、septal e’、lateral e’、僧帽弁口血流速波形(E)、E/e’、LVMI、LAVI、LVOT、LVOT-VTI、TR velocity、IVC、GLS、Left atrial strain (2-chamber view and 4-chamber view)のベースラインからの変化量・変化率、およびIVCにおける50%以上の呼吸性変動を有する症例の割合
8.プロトコール治療開始後8週におけるKCCQ-12のベースラインからの変化量、および5ポイント以上スコアが上昇した症例の割合
9.初回の心不全イベント[心不全増悪による以下の事象:ⅰ)予定していない再入院、ⅱ)心不全に対する静脈内治療(血管拡張薬、強心薬)の開始(入院中:再入院時は除く)、ⅲ)静脈内治療(血管拡張薬、強心薬、利尿薬)を必要とする心不全による緊急受診、ⅳ)経口利尿薬(ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬、トルバプタン)の開始もしくは50%以上の投与量増加(外来)]、もしくは全死亡からなる複合事象の発現までの時間
10.再発を含む心不全イベント、もしくは全死亡からなる複合事象の発現回数と頻度
11.初回および再発の心不全イベント、全死亡および心血管死の個々の事象の発現回数と頻度および発現までの時間
12.腎機能の悪化(血清Crの50%以上の増加もしくはeGFRの30%以上の低下)、高カリウム血症(血清カリウム5.5 mEq/L以上)、症候性低血圧、血管浮腫など特定の有害事象の発現回数と発現までの時間
13.その他の重篤な有害事象の発現回数
利用する医薬品等
一般名称
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物
販売名
エンレスト®錠(Entresto® Tablets)
組織情報
同じ対象疾患の治験
(48件)- ・NIHA-001の性能を評価する多施設共同単群試験
- ・心疾患患者に対するβヒドロキシβメチル酪酸カルシウムを併用した運動療法の効果
- ・心房細動を合併した左室駆出率の保たれた心不全患者における、リズムコントロールが運動耐容能や心血管予備能、予後に与える効果の検討
- ・無症候性心不全患者におけるSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの心臓周囲脂肪減少効果を指標とする有効性と安全性を検討する多施設共同ランダム化比較試験
- ・心不全を有する20歳から90歳の男性および女性被験者を対象とした、心肺運動負荷検査における新医療機器:汗計測装置より求められた乳酸性代謝閾値と心肺運動負荷検査における呼気ガス分析装置により求められた嫌気性代謝閾値の相関研究試験:前向き単施設研究